講談社野間道場は、1925年(大正14年)、株式会社講談社の初代社長である野間清治氏によって、当時の小石川区音羽に創設された剣道修行の道場である。
教育者として出発した野間清治氏は、剣道を「渾然一体の和の力、即ち瞬息心気力の一致」を目指すものと高く評価。人格形成と修養のための至上の道として、剣道を通した社員や子弟の人間教育のために野間道場を創設した。大家を師範に招くとともに、修行者の流派や派閥を問わず広く門戸を開放したことから、日本屈指の名門道場としてその名を知られた。
2007年(平成19年)に株式会社講談社の別館新社屋に移設され、現在に至る。
野間清治氏の書「龍飛鳳翔」が刻まれた大太鼓の響きが、今朝も稽古の始まりを告げる。
野間清治 略歴
1878年(明治11年)12月17日~1938年(昭和13年)10月16日
株式会社講談社の初代社長。剣道場「講談社野間道場」の創設者。群馬県山田郡新宿村(現在の群馬県桐生市)出身。
戊辰戦争で亡くなった幕末の剣客森要蔵の血を引き、自身も東京帝国大学まで剣道を学ぶ。教師・教育行政官として働いた後、のちの講談社の前身「大日本雄辯會」を設立。大正から昭和初期の出版界で圧倒的な地位を築いた。
剣道による人間教育を信奉し、社員や子弟の教育を目的に設立した野間道場からは、長男の野間恒・甥の森寅雄を筆頭に多くの名剣士を輩出した。剣道の普及と発展に貢献したその功績から、全日本剣道連盟の設立50周年記念事業である剣道殿堂に顕彰された。